命綱なし地上800mで微笑む天使。アレックス・オノルド。




バンで岩場に寝泊りをし、まるでハイキングに出かけるかのように日常的にフリーソロを行う驚異のクライマー:アレックス・オノルド22歳からフリーソロを行うようになり、すでに1000回以上フリーソロを行っている。

フリーソロ・クライミングとは、クライミングシューズ、チョーク以外を使用せず、
命綱なしで岩を登るクライミングのスタイルのことである。もちろん、足を滑らせたり、バランスを崩したりという小さなミスが、そのまま「死」につながる危険な挑戦である。

地上600mから恐怖を感じるというアレックスが、
メキシコのエル・センデロ・ルミノソのThe Shining Path(5.12d)の完登した時の動画がある。静かな音楽と壮大な映像が、臨場感を与えています。さすがに、これだけ高いと風もすごそうです。



彼のクライミングムーブのスークエンスはとても美しい。

かなりきわどいムーブでもゆっくりと、確実に登って行く。
フリーソロにおいて、ひとつのムーブの失敗は文字通り「死」を意味するそのリスクを回避するため、ひとつひとつのムーブが精密で洗練されている。そして、それを可能にする強靭な体力、保持力と精神力。

彼の挑戦は、入念なルート、ホールドの確認とクリーニングの上で成り立っている。
そして何よりも、単に無謀なものに挑戦しているのではなく、彼自身が自らのクライミングスキル、能力を熟知した上での「判断」そして「挑戦」としてフリーソロを行っているのだろう。


彼は口癖のようにいう。



大したことではないよ。No Big Deal


そして、誰もが抱くであろう疑問、

フリーソロの死の危険性に関して聞かれたアレックスはこう答える。


僕は何が出来て、何が出来ないのかをよく分かっている。ただ、前進あるのみだけだよ、その時まで。ようするに、、、でもわからないな、あんまりそんなことは考えないから。たぶん、もしかしたらそれ(死について考えること)が、僕にとっては危険なことなのかもしれない。僕はあまりにそれ(死)に近すぎて、それを考えることも、教えることもできないのかもしれない。フリーソロを一生続けていけるとは思っていないよ。でも、危険だからって止めることはないよ。止めるとしたら、フリーソロに対する情熱を失った時だけだよ。


彼は断崖絶壁で撮影クルーのカメラを見て微笑む。

そして口笛を吹きながら、再び登っていく。





フリーソロが、いかに彼にとって日常的なのか分かるエピソードがある。ヨセミテで多くのCBSカメラクルーに囲まれてChouinard-Herbert (5.11c)を登ることに違和感を感じたアレックスは、その撮影前日、こっそりThe Phoenix(5.13a)をフリーソロを行っている


近年、Honnold Foundationを立ち上げたアレックスは、
クライミングだけでなく「持続可能なエネルギー」を扱った社会貢献事業を行っている。そのプロジェクトの多くは、アフリカにおける太陽光発電技術の普及である。


Honnold Foundation
http://www.honnoldfoundation.org/#mission 

そして、いよいよ、これまでのアレックスのフリーソロをまとめた本"Alone on the wall"日本語訳が、山と渓谷社より発売される。是非チェックしよう。

ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡