クライミングの「保持力」とは何なのか?


クライミングをしていると、よく「保持力」という言葉を使う。強いクライマーは、ほぼ皆「保持力」が強い。「保持力」無しに強いクライマーになることは不可能とも言える。

しかし、多くの人が「保持力」「保持力」と使うものの、
その定義というのは非常に曖昧である。そこで、私なりにクライミングにおける「保持力」を考えてみたい。

もちろん「ホールドを保持していられる力」ということなのだが、いったい、どこの力で保持しているのかと言われると難しい。ただ単に指の筋力というわけでもなければ、腱の強さでもない。かといって腕の力、引きつけ力とも違う。

考えれば考えるほど「保持力」というのがあまりに漠然としているように思う。片手でどれだけの加重に耐えられるかという方法によって「保持力」を比べてみる方法もあるようだが、それは指と腕の筋力の問題であって、クライミングの「保持力」とは少し違う気もする。(確かに、足が切れた時に指、腕だけで保持する力を「保持力」と呼ぶこともできるが。。。)

「保持力」のあるクライマーのムーブを思い描いてみる。
そうすると、もう少し「保持力」の本当の意味に近づけるのではないか。まず、ムーブに安定感がある、そしてむやみにダイナミックな動きをするのではなく、ひとつひとつのムーブが緩やかにつながっていて、かつスタティックである。
この「スタティックなムーブ」を可能にしているのが「保持力」の正体ではないかと思う。

では、「スタティックなムーブ」を可能にしているのは何なのだろうか?まず、指の筋肉、腱、前腕が発達していることは前提として、その上で、ムーブをスタティックにしているのは、「腕が曲がった状態までホールドを保持できる筋力」ではないかと思う。
これはブロックなどと呼ばれるムーブで、体を腕に引き寄せ、脇をしめることにより、力の入れやすい体の形を作り出し、指、腕が持つ本来の力を発揮する方法である。主にクロスのムーブや、立ち込みで使われる。

体力測定で握力を測るときに「腕を体につけてはいけない」と言われたのを覚えているだろうか?脇をしめ、腕を体に引きつけると、本来の指・腕が持っている以上の力を出すことが出来てしまうのである。しかしクライミングでは、そんな力こそが必要なのである。

この「腕がのびた状態から、曲がった状態までホールドを保持できる筋力」「保持力」を構成する大きな要素ではないかと考えている。要するには「真の保持力」とは「ホールドを保持した上で、次のムーブに持っていく力」だと思う。先にも述べたように、もちろん指の筋肉、腱、前腕が発達していることは前提である。では、腕が曲がった状態でホールドを保持しているとき、どこの筋肉が使われているのだろうか。

主に、前腕、上腕、胸筋、広背筋、そして腹筋である。ぜひ、脇をしめて力を入れてみてもらいたい。だいたいどのあたりの筋肉が使われているかイメージいただけるだろう。

そう、保持力の大きな構成要素とは、「ホールドを持った状態で脇をしめていく力」なのではないだろうか。まず第一に、指、前腕の筋肉によってホールドを保持する。そして、第二にスタティックに脇をしめ、体を引きつけ、安定した状態をキープし、次のムーブにつなげる力。この二つの異なった力こそが、本当の保持力なのではないかと思う。

要するには、単に指でぶら下がる力だけでなく、引きつけるムーブと連動したときに発揮される力のことなのだと思う。
「引きつけ力」に非常に近い解釈だが、「引きつけ力」が動的な、勢いにのせたムーブで可能なものであるのに対し、
保持力で必要とされる引きつける力は、スタティックなものでなないだろうか?

以上、クライミングの「保持力」とは何なのか?、私なりに考えてみました。