流れるようなムーブ:クリスチャン・コア

Christian Core "GIOIA" 8C+ from Angelo Poli on Vimeo.


現在、世界で最も難易度の高いボルダリングの課題は8C+/V16/6段である。そのひとつ、イタリアはバラッツェにあるGioiaを初登したクリスチャン・コア師を紹介したい。



クリスチャンによる初登は2009年だが、その後2012年に38歳でも撮影のために再登している。また、アダム・オンドラが2011年に、2014年にはナーレ・フッカタイバルが完登している。

クリスチャンのクライミングは流れるようなムーブの美しさがある。その流れるような美しさを作り上げているのは、華麗なフットワークと、それを支える腕・指の強さ、そして何よりも腰のいれ方だろう。ビデオを見てもらうとよく分かるが、クライミング中の彼の腰は岩に沿うようにして移動している。この腰の入り方、体幹のスムーズな移動こそが流れるようなムーブを作り出している。この動きで8C+を登れているのかと思うと驚愕する。アダム・オンドラの完登映像と比べると、その差は歴然である。

最近のクリスチャンはどうもビデオ制作と後継者育成にはまっているようだ。クリスチャン本人が、Canon 7Dで複数のレンズを使い分けて撮影しているらしい。ミニジブ(小型クレーン)なんかも取り入れて、本格的なクライミング・ビデオに仕上がっている。10-22mm, 18-85mm, 40mm単玉の3つのレンズを使っているようだが、映像の距離感が心地よい。おそらく人間の視野に近い40mmの距離感、そして彼と対象者との自然な距離感なのだろう。

この抜群の映像センス、時間の刻み方、ショットの美しさ。
この美意識は彼のクライミングスタイルから映像制作まで引き継がれているようにみえる。

そのビデオに頻繁に登場するのが、15歳の若手クライマーGiorgia Tesio。まだあどけなさが残る容貌とは打って変わって、卓越されたクライミング技術をもつ期待の星だ。Varazzeではすでに8A+/4段のボルダー課題、スポーツクライミングでは8B+/5.14aを完登し、コンペティションにも参加している。


Giorgia Tesio - Excalibur (sit-start) - Varazze from CoreFamily on Vimeo.


クリスチャンは曰く。


僕は様々なコンペで、自分が予想した以上に成果を残すことができた。
すでにコンペティション参加者の中では最年長になっており、これから自分に一体何ができるのかということを考え始めた。競技クライマーとしての人生は終わりの時期だった。


彼らに望むことは、ただ真っ当な人間でいてもらいたいということだけだ。いつもアスリートとしての精神と情熱をできる限り彼らに注いでいる。





岩場でのトレーニングはさながら師弟関係である。

現在クリスチャン・コアとその奥さんステラ・マルキシオを追ったドキュメンタリーフィルム” I Core, my climbing family "が観られる。クリスチャンの弟子だけでなく、二人の小さな娘がどう育っていくのか、これからが楽しみだ。


実は2015年にイタリアからカナダに移住し、カナダのユースナショナルチームのコーチに就任しているようだ。カナダからどんなクライマーが出てくるのか、こちらも楽しみだ。