強くなるためにする、たった1つのこと。クライミング・ボルダリング



強いクライマーになるためにするべきことは何なのか?筋トレ、フットワーク、柔軟、ダイナミックムーブ、外岩。どれも正しいが、基本の基本となるたった1つのことを伝授しよう。すごく重要なことだけれでも、ややもすると忘れてしまいがちなこと。

それは「ケガを予防すること」です。

ま、当たり前すぎることなのですが、本当に重要なことです。一度ケガをしてしまうと、数週間、数ヶ月トレーニングができなくなります。長い目でみて「ケガを予防すること」が強いクライマーになるための最も近道なのです。
そして、このケガの予防には幾つかの方法があります。


  1. ウォームアップ、ストレッチをしっかりとすること
  2. うまく転ぶこと
  3. 実力/課題を過信しないこと
  4. 礼節を重んじること


1。ウォームアップ、ストレッチをしっかりとすること。

あまりに当たり前のことなので、詳細は割愛します。ストレッチの仕方に関しては、前述の記事「ストレッチ→運動ではなく、運動→ストレッチ」をご参照ください。

2。うまく転ぶこと。

サッカーやバスケットの選手をみていると、ボール争いのすえに激しく転倒する場面がよくある。それでもすぐにケロッと立ち上がり、何事もなかったかのように試合に戻ってゆく。一見、激しく転んでいるように見える、彼らが行なっているのは「うまく転ぶ」ということである。

どんなスポーツでも、そのスポーツがうまくできる人は、うまく転ぶ方法を知っている。それは、本当に身体がコントロールできない状態になって転んでいるわけではなく、その一歩手前で自ら転んでいるからだ。サッカーで足が引っかかって転ぶ。確かに足は引っかかっている。しかし、足をかけられた選手は、「あ、足がかかる」というほんの一瞬の判断があり、転ぶモーションへと移れるのである。背後から足をかけられると、その一瞬の判断ができずにケガに至ってしまう。

クライミングの場合は、「うまく落ちること」というべきだろう。登る前に、うまく落ちる練習をしなくてはならないという本末転倒な話だが、強いクライマーはみな、うまい落ち方を知っている。それは、「あ、これは落ちるな」という一瞬の判断ができていることと、落ちるムーブのシミュレーションが頭の中で出来ているからである。この「うまく落ちること」をつねに頭の片隅に置いておくだけで、随分とケガの予防になるだろう。うまく登るのもかっこいいが、うまく落ちるのもかっこいい。


3。実力/課題を過信しないこと

実力を過信するあまりに、難しすぎる課題に手を出すとケガをすることがよくある。というのも「いままでやったことのないムーブ」のため「いままで落ちたことのない落ち方」をしてしまうからである。自分の実力に見合った、あるいはひとレベル上の課題くらいまでにしよう。

もうひとつ、課題を過信しすぎないこと。これは、ジム・外岩の課題どちらにも言えることだが、常に安全な形で課題が作られているとは限らない。ホールドが緩くなっていたり、汚れて滑りやすくなっていたり、あるいは課題のムーブ自体がケガを誘発するものもある。(特にランジ課題などで、振られが大きく変な形で落ちてしまう、低いランジで受身が取れないなど)。このあたりは自己責任で、落ちるムーブまでイメージできるかというのが重要だ。

外岩の場合は、課題のホールドのチップ、破損が起こる可能性、ランディングの悪さ、ウォームアップ不足など様々な条件が絡んでくるのでさらにケガの危険性は高い。常に課題をしっかりとチェックして挑もう。そして、信頼できるスポッターと共に登ろう。


4。礼節を重んじること

「ケガしないクライミング。礼に始まり、礼におわる」でも書いたが、頻繁にジムに通い、日常的にトレーニングを行うようになると、クライミングがあまりに普通のことで、気持ちのメリハリがなくなってしまう。そんな時にこそ、ケガは起こるのだ。

常に、クライミングと日常に少しの意識的な境界を設け、集中力を高め、ケガを予防するためにも「礼に始まり、礼に終わる」クライミングを心がけましょう。


そして、どんなに強いクライマーでも、常に安定したパフォーマンスを発揮するのはとても難しいことです。身体の状態は常に変化しています。集中出来ないとき、調子の悪いときは、激しい課題をやめておくなど、少し引いた目線で考えることが重要です。岩道は1日にしてならず。焦ることはないのです。長い目でみて「ケガを予防すること」が強いクライマーになるための最も近道なのです。