クライミングビデオの作り方1。GoProで撮る。

世界のトップクライマーのクライミングビデオが日夜、様々なウェブサイトにアップロードされる。外岩クライミングの完登は、そのほとんどの場合が自己申告制。時には周囲の人によって見届けられることもあるが、どこか特別な機関が審査しているわけではなく、自らで判断し完登を申告する。クライマー同士の信頼で成り立つ、なんともゆるいスポーツである。




今日では簡単に記録動画を撮影、編集、アップロードできることから、ビデオで完登映像を撮影することにより「証拠」を残すことが主流になってきている。が、これも「絶対」なのではなく、あくまでもクライマーの自主判断で行われている。それらを様々なクライミングメディアが紹介することにより、記録として保存されてゆく(といっても、これもどこかの機関が行っているわけではなく、人々の記憶に保存されている...)。

せっかくの外岩クライミング、完登の記録映像を残したいなんて考えている方も多いのではないだろうか?ここではGoProを使用した簡単なクライミングビデオの制作方法を紹介したい。第一回は「GoProで撮る」、第二回は「GoProで編集する」と題して二回に分けて紹介したいと思う。


GoProとは2000年代中盤から出てきた、Woodman Labs社が発売する、耐久性の高いアクションカメラのことを指す。それまでヘルメットに搭載する小型ヘッドマウントカメラはプロ向けの高額なものが多かったが、安い価格でプロ並みのクオリティを提供するために制作、発売された。いわばカメラ盤Gショックのようなものだ。

さまざまなエクスストリームビデオ、映画、テレビ番組で使用されており、その動画クオリティの向上から、GoPro映像かどうか違いを見分けるのが難しいほどである。まずは、GoProを使用してクライミング記録映像を撮影するメリット、デメリットをあげたい。

【メリット】
・小さい、軽い
・防水、耐久構造
とにかく広いワイドアングル
リモート撮影機能
・ビデオに動きを加える4K(モデルによる)
・比較的お手頃価格

【デメリット】
ディスプレイがない(モデルによる)
バッテリーがもたない
・音が悪い


まずはメリットの説明から。とにかく外岩に行くのに荷物を減らしたい、でもカメラを持っていきたい。そんな時に助かるのがGoPro。「とにかく小さい、軽い」。そのサイズ幅59mm、高さ40.5mm、奥行き30mmでポケットにもすっぽり収まる。本体だけなら、ちょっとしたキーホルダーくらいのサイズだ。その小型ボディーからは想像できないほどの強さ、「防水、耐久構造」を持つ。専用ケースに収まっていれば、水たまりに落としても、ぬかるみに落としても安心だ。

そして、最も重要な点が「とにかく広いワイドアングル」だ。外岩の撮影では常に良い撮影スポットを得られるわけではない。崖っぷちの岩場、時には川沿いの岩場で、撮影するだけの十分な距離を取れないことが多々ある。一般的な携帯電話のカメラアングル(画角)が29mm程度 、コンパクトデジタルカメラが  25mm程度であるのに対し、GoProは画角170度、35mmレンズ換算「15mm」という驚異的なワイドレンズを標準掲載する。これは、魚眼レンズに値するレベルで、買うと結構な値段がする。このワイドアングルが、外岩では力を発揮する。引きのとれない岩場でも課題の全体像をフレームに捉え、オーバーハングでは少しカメラを上に向ければ、岩下からトップアウトまでをひとつのアングルで捉えられる。

そして、さらに役立つのが「リモート撮影機能」。少し高額のデジタルカメラであればリモコン追加購入でリモート撮影が行えるが、安価なコンパクトデジカメにはほとんどリモート撮影機能が付いていない。GoProでは、わざわざ少し離れたところまで撮影開始ボタンを押しに行く必要もない。機種によって異なるが、携帯アプリや付属リモコンによってリモート撮影が可能だ。一人で登っていても、手元で撮影を管理することができる。

ここまで小さいのに、驚くべきことにいくつかのモデルでは、フルHDの約4倍の解像度、4Kにも対応している。さすがに個人のクライミングビデオで4K機能を使うことは少ないと思うが、この4K機能、少し違った使用方法もある。それは、4Kや2.7Kで撮影し、編集時にフルHD程度の解像度で一部を切り出して使うことにより、後付けのパン(動画の横移動)やズームが可能なのである。動きの加わったビデオは、より魅力的に視聴者を捉えることだろう。

そして、比較的手頃な値段設定。ちょっと良いコンパクトデジタルカメラといったところだろうか。最新のGoPro HERO4セッション なら最安値28,000円ほど、Go Pro Hero4 シルバー で44,000円ほど。アウトドアによく行く人にはオススメの価格設定だ。ただ、同じような機種のカメラが多くのブランドから出ており(パチもん?)、そちらの値段設定に比べるとだいぶ高く見えるかも。その辺りは個々人のご判断で。

ちなみに、GoProとよく似た性能と外観を持つカメラたちはこちら





次にデメリット。まずは「いくつかのモデルには確認用ディスプレイが標準搭載されていない点」。撮影アングルの確認には、携帯でGoProアプリを使用するか、追加ディスプレイを購入する必要があった。現行のGo Pro Hero4 シルバーGo Pro Hero+LCD には タッチパネルが搭載されているのでオススメだ。その他のモデルは撮影した映像をその場で確認できない。

さらに「バッテリーがもたない」という点。撮影で電源を入れっぱなしにしていると2時間くらいで無くなってしまう。こまめに切っていても、半日くらいで無くなってしまう。しかし、交換用電池が安価で購入できるので、夜には家や宿に戻って充電できるのであれば特に問題はないだろう。1日みっちり撮影していのであれば、追加で2つあると安心だろう。GoPro HERO4バッテリー2個

そして、とにかく「音が悪い」。もともと音を使用する目的で作られているカメラではないと思うが、風が強ければ風切り音はすごいし、防水ケースにいれて撮影すれば音は「ボコ..ぼこ...ボコ..ぼこ....」。クライミングビデオなんてほとんどバック音楽にのせてしまうか、記録だけのためだからその辺りは好しとしよう。しっかりとした音が必要ならば、他に録音機器を用意する必要がありそうだ。


では、実際に簡単な撮影方法を紹介しよう。今回使用するのはGoProが無料で提供するGoProアプリ。携帯、iPadに入れることができる。こちらからダウンロードできる。





まずはカメラとiPhone、 iPadをWi-Fiで接続する。このWi-FiはBluetoothのようなもので、携帯とカメラの接続なので家のネットワークが必要なわけではない。森の中でも、海の中でも、端末同士のWi-Fiが届くようであれば問題ない。公式サイトでは約180mまで接続可能とされている。ルートクライミング中に撮影開始なんてことも可能だ。

まずはカメラ側のWi-Fiモードを入れる。カメラ側面のWi-Fiマークを押すと青いランプがつく。

iPhoneや iPadの環境設定に行き、Wi-Fiネットワークの中からGoProの名前のものを選ぶ。

GoProアプリを起動し、Connect Your CameraからControlを選択する。以上で終了。








撮影は一般的な1080pの30fps。ウェブのアップロードにはまったく問題ないクオリティあとは撮影開始ボタンを押すだけ。リモートで撮影が始まる。撮影が始まるとカメラ側に赤いランプがつき、iPhone、iPadのプレビューは終了される。

外岩でのGoPro撮影に助かるのが、JOBYが提供するフレキシブルな三脚ゴリラポッド。GoProマウントを付属し、一般的な三脚では設置が面倒なでこぼこした岩場にもフィットする。そして、どんな木にでも簡単にカメラを設置することができる。いままでは撮影の邪魔だった木が、突然撮影を手助けしてくれるのだからありがたい。そして220gという軽量さ。少しかさばるが、外岩撮影には必須アイテムだ。

JOBY アクションゴリラポッド GoProマウント付属

ということで、「クライミングビデオの作り方1。GoProで撮る」。GoProの紹介とメリット、デメリット、撮影の基本を紹介しました。次回は「GoProで編集する」。GoProが提供する無料編集ソフトGoProスタジオを紹介します。ぜひお読みください。みなさんの素晴らしいクライミングビデオがアップロードされる日を楽しみにしています。