続)カチ持ち神話を考え直す 2 |クライミング・ボルダリング


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以前書いた記事「カチ持ち神話を考え直す」へのアクセスが多く、多くの初級・中級クライマーの方が「どうやったらカチ持ちが強くなれるか」ということに関心があるようです。もともと以前の記事は、中級課題になってくるとカチ持ちだけでなくオープンの保持力が重要になってくるという内容でしたが、これはカチ持ちの保持力があった上で成り立つ話です。順番が前後してしまいますが、ここに私なりの「カチ持ちを強くするための方法」を書いておきたいと思います

その前に、カチ持ちにおけるいくつか重要な点をあげておきます。


弱いカチ持ちを強くするには、指の腱、筋肉を強くする必要があります。それなりの時間とトレーニングが必要です。まず、無理せずにコツコツと努力することが重要です。怪我をしないことが上達へのもっとも近道です

そして、絶対的に指の小さい人、体重の軽い人がカチ持ちが強くなるのが早いです。これは物理的な問題です。子供がカチを持つのと、大の大人がカチを持つのでは、指にかかる負荷がまったく違ってきます。そうでない方は、カチ持ちになれるまで少し時間がかかるかもしれません。クライミングとは、すなわち重力との戦いです。

また、ギター、ベースやピアノの長年の経験者、指に負担のかかる作業を日頃から行われている方は、カチ持ちが強くなる潜在的な力を秘めている可能性があります。

そして、クライミング前にはしっかりとした指のストレッチ、マッサージを忘れずに!



カチ持ちは「三本の矢」

カチ持ちを初めて最初の頃は、カチ持ちのコツがよく掴めないことでしょう。私も、なぜ親指を他の指の上から丸め込むと力が出るのかよく意味が理解できませんでした。むしろその方が持ちづらいとすら感じていました。まずは、カチ持ちのイメージを掴むことが重要です。クライミングで一番重要になってくる指は中指でしょうか。この指は手の中心に位置し、何をするときにも必要になってきます。

薄いカチホールドにこの中指がかかっている状態をイメージします。ぶら下がっているのも厳しい状態です。そこに、人差指と薬指を添えてあげます。随分とぶら下がりやすくなりました。しかし、この三本の指で上体を持ちあげようとすると、なかなか力が出ません。それは、この三本の指が独立して動いてしまうからです。どんなに指の隙間を埋めようとしても、残念ながら体の重さに耐えられるほどの力を各指は持っていません。そこで、親指、小指をこの三本の指を挟み込むようにして回し込みます。そうすると、さっきまで別々に機能していた三本の指がひとつの塊として機能し始めます。

重要なのは、親指を回しこむことなのではなく、親指と小指で他の3本の指を挟み込み、指の隙間を埋め、ひとつの塊に固定することです。このイメージを掴めるかどうかが鍵になってきます。それはさながら「三本の矢」のようなものです。




クライミングは重力との戦い

先にも書きましたが、クライミングは基本的には重力との戦いです。体重を軽くするということは、クライマーにとって非常に重要なファクターになってきます。ただ、単に軽いだけでは風に吹かれて飛ばされてしまいます。体脂肪を落とし、その分、筋力をあげる必要があります。エネルギーを取り込みながら、比較的簡単に、そして効率的に痩せられる「クライマー必飲?のバターコーヒー」をお勧めします。また、過去記事「体脂肪10パーセント以下の体作り」もご参照ください。



指を立てる、あるいは爪を立てるネイリング


もうひとつカチ持ちで重要な点は、指をしっかりと立てることです。カチ持ちはしているけど、うまく力が入らないと悩んでいる方の多くのパターンがこれに当てはまります。指先がべたっと寝てしまっている状態でカチ持ちをしようとしても、指の第二関節あたりに力がかかってしまいます。これでは、せっかくカチ持ちをしているのにうまく指の力を生かせていません。中指を中心に考え、中指をしっかりと立ち上がっている状態にすることで、力の支点の一部を第一関節に移動し分散します。カチ持ちによってしっかりと固定している第一関節に力の支点を持っていくことにより、カチ持ちの本来の力が発揮されます。

イメージとしては、爪を立てる感じです。爪を立てると必然的に指先が立ち上がってきます。英語ではホールドを掴むことを「ネイル」といったりします。もちろん「釘を打つように」という意味ですが、爪を釘のようにして掴むと考えても良いかもしれません。ただ、カチ持ちする前にしっかりと爪は切っておきましょう。ケガにつながります。



指の関節を強くするサプリ

指が強くなるまで、最低でも2〜3年かかると言われています。その間、ケガをせずにクライミングを続けていることが重要になってきます。指の筋肉、腱、関節を多用するクライミングでは、その部分の回復を促すサプリの摂取も重要になってきます。指を強くするサプリとしては、グルコサミン・コンドロイチンがよく知られています。指の疲労を感じるようになってきたら、ぜひお試しください。大体、どんな薬局でも購入できます。お年寄りの方の関節痛を軽減するサプリとしてよく知られています。

過去記事「強いクライマーになる為のサプリ」



左手のカチ持ちを強くするには、左利き手になること

クライミングを始めてしばらく経つと、右手と左手の保持力に大きな差があることに気づきます。特に最初の方は保持できる右手を多用してしまい、見た目にも随分と筋力の差が出てくるのではないでしょうか?カチ持ちにも同様のことが起こります。右手のカチは持てるけど、左手のカチが持てない。そんな時、オススメのトレーニングが日常生活を左利き手で過ごしてみるというものです。過去に骨折など右手をケガしたことのある方は経験済みかもしれませんが、いかに左手が不器用かということに気づきます。

まずは、左手で歯磨きをしてみると分かります。右手(利き手)で行っているようにスムーズに歯を磨くことができません。そして、左手で箸を持ってご飯を食べてみます。たったこれだけのことですが、1週間くらい続けているとなんとなく形になってきます。左手の器用さを養うことにより、カチ持ち時の指の置き方がより精密になり、左手の強いカチ持ちを実現できます。



カチ持ちを強くするトレーニング

よく言われるトレーニングですが、カチ持ち力を上げるためには虫様筋という指を支える筋肉を強くする必要があります。トレーニングボード、キャンパスボードなどで、薄いホールドをオープンハンドで掴み、徐々に指を閉じていきカチ持ちへと切り替えてゆきます。たったこれだけのトレーニングですが、効果は抜群です。繰り返し行いましょう。ただ、虫様筋を強くするにはそれなりの時間と継続が必要です。無理せずにコツコツと努力しましょう。


以上、私なりのカチ持ちを強くするための方法」まとめでした。基本的な事ばかりですが、ぜひお試しください。


カチ持ちをマスターし、より強いクライマーを目指す方は、過去記事「カチ持ち神話を考え直す」もご参照ください。カチ持ちが、実は弱い指筋の代用品になっているかも。。。