パキリ予防|クライミングにおける指のケア


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なさんはどんな指のケアを日ごろ行っているだろうか?クライミングにおいてとっても重要な指、一度怪我をしてしまうと半年間登れなくなってしまうこともあり得る。

俗に言われるクライミングにおける指の「パキり」。パキっと指の腱を痛める音がはっきり聞こえることから「パキる」と言われているが、クライマーにとっては絶対に避けたい怪我だ。



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まずは「パキる/パキッた」時の指の症状とはどんなものなのか。一般的には指ポケット、カチ、アンダークリンプなどで、無理な体勢で指に負荷がかかり、力が入りすぎるか、腱が伸びすぎた時などに起こると言われている。先にも書いたように多くの人が「パキっ!」という音とともに、急に指の力が抜け、ホールドを保持出来なくなる(すっぽ抜ける)という症状をあげている。この時に痛みを感じる人と、そこまで痛みを感じない人がいる。「パキッた」瞬間は、多くの人が「なんで指が抜けたのか分からない」状態になる。しばらくして、「もしかして、パキッたのか?」と我にかえるのだという。その後の主な症状として、

・指が腫れる。指がうまく曲げられない。指に力が入らないため、ホールドを保持できない。パキッた指の下、手の平中ごろが腫れる。触ると痛い。

というような症状が現れる。ただし「パキる」にも幾つかの段階があり、重度のパキりから軽度のパキリまであるので、症状の出方は人それぞれといったところだろう。一度「パキる」と完治まで、軽度のものでも2ヶ月、重度のもので半年ほどはかかると言われている。全く違和感なく登れるまでは長い道のりだ。強いクライマーになるために、どうにかこれだけは避けたい怪我だ。

「パキる」前には、前兆症状のようなものがある気がしている。それは指の第二関節に関節痛/関節炎が起こる。これはクライミングにおいて指を多用しているため(持っている力以上に負荷がかかっている)に起こるのだが、その症状として以下のようなものがあげられる。

朝起きると指が曲げられない。指の第二関節ガクガクする。指の第二関節を押さえると痛い・手首に違和感がある、手首を痛めている。

これらの症状を現在持っているクライマーの方はすでに「パキリ予備軍」かもしれない。指のケアを今以上に入念に行っていただきたい。以下に基本的なクライミングにおける指のケアをあげておきたい。「パキり予防」に有効なものだろう。



もっとも重要なものがアイシング。
クライミング後、とにかく冷水に手を突っ込み、火照った手、指を芯まで冷まし炎症を無理矢理とめてしまうのだ。手が冷たさで痛くなるくらい、20分くらいは冷やす必要がある。また、この時に手を心臓よりも高い位置に保てるとより効果的だ。そして、このアイシングは指の疲労回復にももってこい。1日レストをとれば、次回のクライミングでより快適に、最大限の力を発揮できるだろう。アイシングの力をあなどることなかれ。


そして指のストレッチ。
ストレッチは、トレーニング前にも、トレーニング後にもしっかりと入念に行う。指だけでなく、肘あたりまですべて腱、筋肉がつながっていることをイメージして、手首、指を様々な方向にストレッチする。特に「パキる」原因として、小指と薬指の腱がつながっているために起こると言われている。薬指と小指の腱が中でつながっているにもかかわらず、無理な力によって離されることによって「パキリ」が発生する。それを予防するために、各指を伸ばした状態でもう一方の手で保持し、他の指を握り込んで、それぞれの指の腱を独立してストレッチしていく。

他に、岩道オススメのストレッチが「忍術:切紙九字護身法」を使用した指のストレッチ。とにかく、いろいろな方向に指を伸ばせる+集中力を高められるので効果的だ。慣れるまでかなり難しいが、ぜひお試しあれ。




指を外側に開くトレーニング。

一般的に、筋肉量に偏りが出来ると怪我をし易くなると言われている。例えば、腹筋をつけたなら同時に背筋も。右手の筋肉をつけたなら左手もというように、常にバランス良く筋肉をつける必要がある。同じことが指にも言える。クライミングをしていると、指をにぎり込む力ばかりが成長してしまい、常に手の平が少し閉じた状態になってしまう。これは、握る力が発達しすぎ、手を開く力とのバランスが取れなくなっているためである。これを回避するために、指を外側に開くトレーニングをする必要がある。具体的には、握り拳の状態から、手の平の関節、第二関節、第一関節と徐々に指を開いていく。これを30~50回繰り返すとかなり手がパンプしてくるのではないだろうか。こちらもぜひお試しあれ。



手首を柔らかくしておく。

経験上、指のパキリは手首の状態と関連している。それもそのはず、指の腱は肘まで繋がっているのだから、手首の状態も影響してくる。手首を痛めた状態で登っていたため、指に無理に力がかかってしまうこともある。また、前腕の筋肉が発達し、手首が硬くなってきて、外側に曲がらないためにパキってしまうということもある。手首を常にストレッチし、90度くらいは外側に(腕立て伏せの方向に)曲がるようにしておこう。この時、ハリを感じる前腕部分が、指の腱と繋がっている部分だ。


そしてサプリ。
指の関節炎には、グルコサミン/コンドロイチンを摂取すること。大抵どこのドラッグストアでも手に入れることができる。磨り減った軟骨生成を促し、関節炎を緩和してくれる。


怪我予防のためのテーピング。
アスリートが足や腕に巻いているテーピングを見て「怪我をしている」と多くの人が勘違いしているが、あれは単に怪我をしている訳ではなく(怪我をしている場合もあるが)、力の入り方や動きを制御し、怪我を予防するために行われていることが多い。また、テーピングをすることにより、筋肉を固定し、より良いパフォーマンスを引き出すことも可能である。クライミングにおいても同様だ。例えば、手首、指はもっとも怪我をしやすい箇所である。テーピングで固定し、無理な力がかかった時に「テープによって補助」してもらい、怪我を予防する。具体的には、手首の場合は手首外側にある関節の出っ張りを上下から抑え込むようにしてテープを手首に巻く。それによって必要以上に手首が動いてしまうことを防ぐ。指の場は、第二関節内側にXを描くようにしてその上下をテープで固定する。これによって指が外側に弾き飛ばされてしまう/伸びてしまうことを予防する。指皮の保護もできるので一石二鳥だが、いかんせん少しテープの違和感があって登りずらい。。。



クライマー必須のTherapy Putty(セラピー・パテ)。そして、パキりの予防・治療に役立つのが、Therapy Putty(セラピー・パテ)。要するにはシリコンで作られたスライム、あるいは練ケシのような商品なのだが、これをゆっくりと握り込むことによって、指筋を鍛えパキリ予防になる。クライミング前に使えば、指のウォームアップにも使える。クライマーには必須のアイテムだ。幾つかの硬さがあり、用途に応じて使い分けられる。実際の使用方法については下記のビデオを参考にしてもらいたい。





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ハンドクリーム による指皮のケア。

パキリの予防とは少し違うかもしれないが、ハンドクリームは重要である。これは、単に指皮の回復のために使うのではなく、指皮を柔らかくキープするために使用する。指先がある程度固くなってくるとカチ持ちにも耐えられて登りやすいが、それが進むと、指皮がカッチカチになり、岩/ホールドを触っている感覚がなくなってしまう。それを防ぐためにヤスリで削ったりする人もいるが、基本的にはしっかりとハンドクリームを塗っていればそこまで固くなることはないと思う。

また、各指関節内側の少し下のあたりにマメのようなものができるのを防ぐためにも使用する。このマメ、放っておくと痛い目にあう。マメがホールドに引っかかり、無理に力が加わって、指皮がずるっと持って行かれてしまうのである。これは多くのクライマーが経験済みだろうが、指の皮膚にボロっと大きな穴が開いてしまうのだ。こうならないようにするためには、マメができる前に指皮を柔らかい状態にキープしておく必要がある。クライミングには適度な柔らかさをもった皮膚が必要なのだ。一度穴が開くと、回復には1~2週間かかる。

個人的に、このボロっとめくれた指皮の回復方法を書いておきたい。まずは、綺麗に洗う。グロテスクな見た目に反して、そんなにしみないのが不思議だ。その後、オロナインなどの傷薬を塗り込み、 ボロっとなってしまった皮をその上から被せて絆創膏をする。その状態で3日ほど、水洗い、傷薬、絆創膏を繰り返す。その間に登る場合は、絆創膏の上から、しっかりとテーピングで固めてあげる。4日目くらいに、ボロっと穴の開いた皮膚の下に、薄い皮膚が形成されてくる。回復度合いに合わせて、爪切りでボロっとなった皮を少しずつ切りとり、小さくしてゆく。1週間くらいでボロっとなった皮を全て切り外し、 傷口を空気に触れさせて新しい皮の形成を促す。だいたい2週間で問題なく回復。重要なのは、最初にボロっとなった皮を取り外してしまわないこと。これを外してしまうと、テーピングしても痛くて全然登れない。

と以上、クライミングにおける基本的な指のケアに関してでした。我流のものもあるので、間違っていることもあるかもしれませんが、基本的には大丈夫だと思います。みなさんも怪我をせずにクライミングを楽しみましょう。と、軽くパキッた指でブログ書いてます。。。とほほ。。。


パキッてしまった後の治療方法はこちらをご覧ください。

パキった時の治療法|クライミング・ボルダリング