ボルダリング|1年で初段を落とすために必要なこと



私自身、ボルダリングを始めて約1年で初段課題を1つ落とすことが出来ました。その経験から学んだことをここに書いておきたいと思います。それは決して簡単なことではありませんでした、そして偶然落とせたといっても過言では無かったように思います。グレードや期間が重要なわけではありませんが「1年でボルダリング初段課題を1つ落とす」を目標としてみるは良いかもしれません。



まず、どんなスポーツ上達においても、
最も重要なことは
「そのスポーツを誰よりも楽しんでいること」です。
何かに集中して、楽しいと感じている時、人は想像以上の上達と力を発揮します。


そして、もうひとつスポーツ上達において重要なのは
「上手い人の動きを観て、それを完コピできる鋭い目」です。
これは、運動神経が良いとか悪いの問題ではなく、単にこのポイントを知っているかどうかだけで全く変わってきます。上手い人の動きをよく観て、その動きを完全にコピーするだけで、ほとんどのスポーツはそれなりに出来るようになります。この時、重要になってくるのが、ボディーコントロールです。武井壮さんがよくされる話ですが「机に置かれたコップを取ろうとして取り損ねることは無いのに、ボールを打とうとしてバットがボールに当たらないのは何故なのか」という疑問があります。これは、スポーツによって普段とは違う体の使い方をしているため、自分が思っている以上に体をコントロール出来ずに起こります。

そして、このボディーコントロール能力が、俗にいう「運動神経」を構成する重要な要素なのかもしれません。それは単に筋力の問題ではなく、いかに自分の体を、自分の思っているように動かせるかという能力だと思います。

鏡の前でムーブをおさらいしてみるとか、誰かに携帯で撮影してもらい、いかに自分が登れていないか、自分が思い描いている動きと違うかを認識する必要があります。そこから、腰が入っていないとか、肩が上がっているとか、重心の乗っている位置が違うとか簡単に気づくことが出来ます。

重要なのは「自分の体をいかに自分の思っているように動かせるか」という点に集中してトレーニングすることです。



「好きなクライマーを見つけること」

必ずしもプロのクライマーである必要はありません。ジムの常連さんや友人でも構いません(プロのクライマーだとビデオがチェックできるので良い)。とにかく、自分の好きなクライミングスタイルを見つけましょう。クライミングといっても千差万別、人それぞれ様々なスタイルを持っています。それは、その人の人生、考え方を反映するほどのものです。

尊敬できるクライミングスタイルを見つけましょう。その人がもし同じジムに居るのなら、もうじっと熱い視線を送って、フットワークから、指の使い方、重心移動までギョロリと観察しましょう。ただ、恋してると間違われないように!まぁ、恋してしまっても良いですが。


「自分の強みを理解し、それに見合った課題を見つける」

これはクライミングスタイルに近い話ですが、必ずしも自分の好きなスタイルと、自分に合ったスタイルが同じとは限りません。ジャンプ力があって、ランジが得意ならランジ系。指が小さく強いならカチ系、長いならスローパー系。フットワークと重心移動が得意ならスラブ系など様々です。とりあえず1年でボルダリング初段課題を1つ落とす」ためには、自分の強みを生かせる課題を見つける必要があります。
ちょっとズルいですが、2手しかないダイナミックな課題だってあるわけです。


「明確な目標と時期を設定すること」

初段を1年で落としたいと考えているなら、それまでに2級、1級を落とす必要があります。1級から初段のレベル差は大きく、3ヶ月から半年くらいを見る必要があるかもしれません。2級を半年くらいで1つ、1級を3ヶ月前までには複数落としておく必要があると思います。重要なのは、どのグレードの課題でも、自分が本当に落としたい、集中できる課題を見つけていくことです。見つけたら、何度も通ってムーブを少しずつ分解、そして最後にフルパワーで繋げましょう。1度落とした課題を簡単に登れるようになるまで繰り返すのも良いトレーニングになります。


「弱点を知って克服し、強靭な足腰をつくる」

「自分に合ったクライミングスタイルを見つける」のと全く逆になりますが、「自分の弱点を見つける」必要があります。クライミングは、基本的には「弱点を見つけて克服することにより、強くなっていくスポーツ」だと思います。多くの方が「腕・手の力が弱い」という弱点をあげると思います。しかし、実は「足の使い方が悪い」から、腕・手の力が弱く感じてしまうのかもしれません。

腕の筋肉は定期的に登っていれば、ある程度のところまで勝手についてきます。ただ、足と腰の筋力はボルダリングをやっているだけではなかなか増えません。他にスポーツをしていた方で、クライミングを始めるまでに期間が空いていなければ問題ないかもしれませんが、クライミングにおける足腰の筋力は非常に重要です。手で登っている限り、初段課題完登は遠いでしょう。ランニングや縄跳びをして足腰を作り上げましょう。いかに足と腰を使って、手にかかる力を軽減するかが鍵となってきます。

また、体の柔らかさも重要です。常にトレーニング前後、お風呂上がりにストレッチをして関節を伸ばしましょう。


「怪我をしないことが、強くなるための最も近道」

あまり急ぎすぎないようにすることが重要です。ライバルに先を越されても、自分の今持っている力と、その日の疲労度などをしっかりと把握して、長い目で見てクライミングを楽しみましょう。一度怪我をしてしまうと、1年でボルダリング初段課題を1つ落とす」という目標はまず無理だと思います。

私の場合、たまたまクライミングを始めて1年くらいの頃に「絶対に登りたい!」と思える課題に出会えました。「1年で初段を落とす!」と意気込んでいたわけではありませんが運良く偶然落とせたといった感じでした。ただ、落とせた時のトライはものすごい集中力で、登っている途中から自分の息の音と鼓動しか聞こえなかったのを良く覚えています。それはとても静かで、とても優雅な時間でした。

「筋肉量を増やし、体重をコントロールする/痩せる」

クライミングにおいて重要なのは、体重とそれに見合った十分な筋肉量です。要するには体脂肪を落として、筋力をあげる必要があります。1キロ、2キロの差で登れる課題は随分と変わってきます。体脂肪10パーセントくらいを目指して頑張りましょう。

過去参照記事
「体脂肪10パーセント以下の体作り」
「クライマー必飲のバターコーヒー!?」


「自分より上手い人と登ること」

自分より上手いクライマーのセッションにどうにか混ぜてもらえるように頑張りましょう。自分が思っている以上に、周りのクライマーはあなたがどれくらい登れるか知っています。登れないことは恥ずかしいことではありません。難しい課題に挑戦するクライマーの後ろ姿は、常に輝いています。上手いクライマーとのセッションは、知らないうちにあなたのレベルをどんどん押し上げてくれるでしょう。


「ジムを定期的に移動すること」

クライミングのグレードとは非常に難しく曖昧なもので、人によって感じ方が違います。それはクライミングスタイルや身体サイズによって違うとも言えます。あるジムで初段とされている課題が、他のジムでは1級くらいかもしれません。そして、ジムによって持っているホールド、セッター、壁の形
が違うため、ジムごとのスタイルがあります。同じジムに通うことも重要ですが、定期的に別のジムに「道場破り」に行きましょう。自分が思っている以上に強くなっていることを実感できたり、予想以上に弱いことを思い知るかもしれません。修行の道は長いのです。

同じ系列店だとセッター、ホールドが同じことが多いので、全く別のジムに行くことが重要です。


「外岩で経験値を積む」

分からないことはなんでも外岩先生に聞いてみましょう。外岩はクライミングの先生です。最初はなかなか馴染めないかもしれませんが、ゆっくりとしっかりと教えてくれます。岩が登るための手段を、テクニックを教えてくれます。外岩の経験値はあなたに絶対的な自信を与えてくれるでしょう。

過去参照記事
「外岩クライミング8つの基本的な心がけ」




と以上、思い当たる1年でボルダリング初段課題を1つ落とすために必要なこと」を書いてみました。ほとんど当たり前のような基本的なことですが、この記事が少しでも誰かの役に立てば光栄です。

絶対的に言えるのは、1年でボルダリング課題初段を落とすことは簡単ではありません。一般的には2級から1級が普通ではないでしょうか。かなり集中的にやっていても、初段課題の完登には1年半〜2年以上かかるのが一般的だと思います。ただ、ここで言っている1年でボルダリング初段を落とすというのは、ある1課題限定のことです。初段をフラッシュできるような安定したクライマーになるためには、まず1年では無理ではないかと思います。

また、多くのトップクライマーが最初から上手かったわけではありません。「最初はみんなより上達が遅かったけど、続けていたらいつの間にか強くなった」というトップクライマーも沢山居ます。1年で初段を落とせなかったからクライミングに向いていないということは絶対にありません。人それぞれ、別々の岩道があるのです。長い目でみて、修行の道をゆっくりと、確実に歩んで行きましょう。

Enjoy Your Climbing!