ボルダリング|初段を落とすための最も重要なコツ



ボルダリング「初段」、そこには大きな壁が立ちはだかっている。その壁を乗り越えることができるのか。それによって、見えてくる風景は大きく変わってくるのではないだろうか?1級から初段への壁で伸び悩んでいるクライマーの皆さんにお伝えする、岩道なりの「初段を落とすための最も重要なコツ」をお伝えします。「筋力を上げる」「フットワークを練習する」「指筋を鍛える」というのとはまたひと味違った重要なポイントです。


過去記事「ボルダリング|1年で初段を落とすために必要なこと」





「身体の構造を理解し、大きな筋肉に力を分散させてゆく」

「初段を落とすための最も重要なコツ」とは、まさしく、「身体の構造を理解し、大きな筋肉に力を分散させてゆく」という点です。これはトレーニングを増やすとか、テクニックを磨くといったような身体的なコツやポイントではなく、どちらかというとスポーツ科学的な、頭を使った論理的なコツになります。ただし、このポイントを押さえている(知っている)かどうかで、体の使い方を大きく変えることができ、初段の壁を克服する手助けになるのではないでしょうか?では「大きな筋肉に力を分散させてゆく」とは実際にはどういうことなのでしょうか?詳しく説明していきましょう。




人間の体を支える筋肉には、部位によって、様々な大きさがあります。例えば、足のふくらはぎと前腕の筋肉を見比べてみてください。前腕の筋肉の方がふくらはぎより大きい(太い)なんていう超上半身マッチョな人は珍しいのではないでしょうか?私の場合、ふくらはぎの筋肉の方が前腕に比べて2倍くらいあります。


筋肉は部位によって、様々な大きさ=強さを持っています。足は常に人間の体、全体重を支えています。たまに使う腕に比べて筋肉が発達しているのは当たり前のことです。では、この大きな筋肉を最大に利用してクライミングすれば、よりパフォーマンスを向上することができるのではないでしょうか?


人間の身体の中で、最も大きな筋肉は「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と言われています。これは、足の太ももを構成する筋肉です。先にも書いたように、足には大きな発達した筋肉が多くあります。そのため、フットワークをうまく使うと上半身にかかる力を分散でき、より効率的にクライミングを行うことができるとされています。


そして、次に大きいのが「大臀筋(だいでんきん)」です。これはお尻にある筋肉です。お尻というと、なんとなくプリッと、脂肪の塊のように思っている方も多いかもしれませんが、大きな筋肉が内部にあります。この筋肉、実は足と腰を支えるための重要な筋肉です。恒常的に腰痛持ちの方は、お尻の筋肉が小さかったりします。「腰の入ったムーブ」を意識的に行うことにより、大臀筋の力を発揮させ、上半身にかかる力を分散することができます。この「腰の入ったムーブ」とは、端的に言ってしまえば「腰が壁に近づいているか」ということになります。へっぴり腰ではなく、ちょっとお腹を前に、壁に向かって出すくらいの形を意識しましょう。


上半身に存在する大きな筋肉は「大胸筋」「腹直筋」「広背筋」の3つです。「大胸筋(だいきょうきん)」とは、その名の通り、胸にある筋肉です。「腹直筋(ふくちょくきん)」は腹筋を構成する筋肉です。「広背筋(こうはいきん)」は背中から腰にかけて長く広がった筋肉です。よく言われる逆三角形のシルエットを作るのはこの広背筋です。
これら、3つの大きな筋肉を意識的に利用し、腕にかかる力を分散させて
登りましょう。具体的には、「腹直筋」は先にも書いたように腰を壁に近づけることによって「大臀筋」とともに自動的に作用します。また、上半身を引きつける時に腕の力だけ頼るのではなく「広背筋」「大胸筋」を意識して引きつけると効果的です。



ここまで読んでもらい「あれ?腕の筋肉は?」と疑問に思われた方もみえるかもしれません。そう、何を隠そう、腕の筋肉とは、人間の体の中では比較的小さな筋肉なのです。腕の筋肉に頼り、腕の力で登っていこうというのは、小さな筋肉で他の大きな、重い筋肉を持ち上げているようなものです。これでは効果的なクライミングは出来ません。この「身体の構造を理解し、大きな筋肉に力を分散させてゆく」点に意識を向けながら登ることにより、今の筋肉量でもより効果的なパフォーマンスを発揮し、初段の壁を越えることができるかもしれません。皆さんのクライミングに、岩道なりのコツが少しでも参考になれば光栄です。


そう、偉大なクライマー:ウォルフガング・ギュリッヒは言いました。脳はクライミングで最も重要な筋肉だ」と。